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電子書籍

高木 篤夫

 最近、日本の電子出版会社13社が、電子書籍販売推進コンソーシアムで電子書籍をリアル書店でも販売できるようにするという。電子書籍の市場は期待しているほどは伸びていないらしい。紙媒体の4%ほどか。

 電子出版の先駆者でやはりシェアも首位にあるKindleを提供するアマゾンに対抗して(Kindleストア利用者が半数越え――OnDeck電子書籍ストア利用率調査)連合して「ジャパゾン」を目指すのだという。

 他方文化庁では、著作権法上も電子出版について出版権の範囲を広げて電子出版権を設けることを決めたようである。

電子書籍もそこそこ動き始めていきており、今後の動向は注目される。

 私自身も電子書籍をよく利用する。いわゆる自炊もして読みたい記事や雑誌なども電子化してタブレットで持ち歩いたりもする。また、最近いわれる出版不況への対応か、雑誌などは電子化したバックナンバー(PDFフォーマットでの電子化)を付録につけたりして紙媒体のおまけになったりしているので、自炊しなくてもバックナンバーも持ち歩ける。

 本・雑誌は紙の束なので、何冊ももっているとそれはそれで重くて持ち運びは大変だし、水濡れにも弱い。(もっとも電子機器も水濡れには弱いのだが紙よりはましである)。

 紙媒体の書籍もアマゾンなどのオンライン書店では在庫があれば配送も素早いので、重宝しているが、電子書籍はいつでもどこでも購入が可能なので読みたい本はすぐ入手できる。コンソーシアムの今度の試みは、出版不況の中で書店の経営環境が厳しいことやリアル書店への配慮から電子書籍化を躊躇している著作者への電子書籍化を促して電子書籍のカタログを揃えていくことにも貢献することをも視野に入れているという。

それでも紙の書籍はいろいろな理由で手放せないところでもある。

 電子書籍化されると特に雑誌では別冊付録が省かれることも多く、値段としても電子媒体だからといって劇的に安いわけではない。ただし、電子書店ではセールやポイント付与や値引きクーポンで割安に購入できたりすることもあり、販促の面では再販価格で縛られている紙媒体よりは安く購入できるのは利点である。

 専門書のたぐいは、紙媒体を主体にしているし、電子書籍かされていないものが多いのでまだ紙主体である。

 文献調査の仕方に慣れているところもあるので、まだ完全にデジタル化には抵抗があるので、調べ物をしたりするときの感覚的なストレスの少なさはまだ紙媒体の方がすぐれているように思う。

 電子書籍は購入後も多様に関して電子書籍を提供するプラットフォームに依存するところもあり、いろいろな問題が指摘できるところでもある。紙媒体については、買ってしまえばそれを永続的に使用していくことができるが、電子媒体については提供事業者との規約に縛られるが、規約も統一されているわけではない。

 電子書籍の普及と発展のための環境整備もこれからであり、今後ことあるごとに注目しつつ分析していきたいと思う。

本コラム中の意見や推測にわたる部分は、執筆者の個人的見解であり、ひかり総合法律事務所を代表しての見解ではありません。
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