弁護士コラムバックナンバー

「仲裁」の話

九石 拓也

 皆さんは紛争を抱えてしまったとき,どのような解決方法を思い浮かべるでしょうか。

内容証明郵便を出してみる,弁護士に交渉を依頼する…それでも解決できなかった場合,次は裁判しかないのでしょうか?

もちろん国家が白黒を判断してくれる裁判は重要な紛争解決の手段です。

しかし,実は法律相談を担当していると結構多いのは,交渉をしたけれどどうにも折り合いがつかない,何とか解決をしたいけれど,できることなら裁判はしたくない,という相談なのです。

例えば,紛争の相手が会社の同僚や隣近所なので,今後のことも考え,あまり大ごとにしたくない。裁判だと時間がかかるのではないか,とにかく早く解決したい。不倫がらみのトラブル,企業秘密にかかわるトラブルなど,紛争を他人に知られたくない。紛争の金額が大きくないので弁護士に依頼したのでは割が合わない。裁判を避けたいと考える理由は様々でしょう。

このような場合,裁判の前に中立・公平な第三者に間に入ってもらい話し合いをする方法が有効かもしれません。

弁護士会には,経験豊富な弁護士が第三者(あっせん人)として紛争当事者の間に入り,和解による紛争解決を図る「仲裁センター」の制度があります。

「ケンカの仲裁」を思い浮かべてください。あっせん人は,中立・公平な立場で当事者の間に入り,話し合いを助け,問題点を整理し,必要に応じて解決案を示します。当事者がお互いに納得しての円満な解決を目指す仕組みです。

紛争の中には裁判でないと解決の難しいものがあるのは確かです。

ですが民事の紛争の多くは,話し合いでの解決の可能性があります。

できれば裁判まではしたくないのだけれど…というとき,紛争解決の手段として,仲裁センターを利用してみるのもよいでしょう。

本コラム中の意見や推測にわたる部分は、執筆者の個人的見解であり、ひかり総合法律事務所を代表しての見解ではありません。
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