弁護士コラムバックナンバー

少林寺拳法

三木 昌樹

 既に前回のコラムでも少し触れましたが、私は、大学で少林寺拳法なるものを経験しました。少林寺拳法とは?などということについてはインターネットでみればお分かりになると思いますので、ここではもっぱら私と少林寺拳法とのかかわりに触れておきます。

 私は、東大で過ごした大学4年間は勉学よりも少林寺拳法の練習と創部したての部の運営に力を注ぎました。少林寺拳法部はその後も発展を続け、昨年(2012年)12月1日、現役の学生やOB、OG及び学内学外の関係者約600人があつまり、創部50周年の式典を開催することができ、創部に関わったものとして、大変感激しました。

 学生の時に勉強をするのはいわば本分です。しかしながら、大学というのは高校までの受け身の勉強とは違い、学生の自主的な選択により専門分野を選び、自由に学び研究することに意義があると思います。当時、私は、不本意なまま法学部に入学したためか(本当は理数系希望でした)、あまりそのような自覚はなく、大学の勉強は高校の延長のような気分で、何とか単位だけは取得し、進学し卒業できれば良いと思っておりました。そのため、法律の勉強に割く時間は最低限度とし、多くの時間は、部活動と、そのために必要な費用を稼ぐためのアルバイトに費やしました。

 それでも、大学を卒業して就職した会社では、特に困ると言うことはありませんでした。むしろ、大学で部活動を積極的にやっていたことが大いに評価され、また多くの点で部活動の経験が役に立ったと思っています。ただ、年を取り仕事もマンネリ化していくに従い、何か違うな、と思うようになり、結局は会社を辞めて、法律の勉強を再開し弁護士になった次第です。

 私は、今では、大学生の時は、法律の勉強ではなく、少林寺拳法の技の研修と少林寺拳法部の運営という専門分野を選択したのだと自己弁護することにしております。

 少林寺拳法を通じての繋がりは、私の人生にとって一番大きなウェイトを占めていると感じています。それは仕事の面だけでなく、人生のあらゆる場面で支え合ったり、刺激を受けることとなっており、運動部特有の先輩後輩といった縦の関係だけでなく、大学を超えた横のつながりも続いており、ますます大きくなっていくように感じています。少林寺拳法の教えの中に、「自己の確立」と「自他共栄」があります。学生の頃にはまず「己こそ己の寄る辺、己をおきて誰に寄る辺ぞ、良き整えし己こそまこと得難き寄る辺なり」という言葉で覚え、「半ばは他人の幸せを」ということを身近のところで実践してきました。

 自慢話になりますが、東大の少林寺拳法部は、現役諸君の活躍により、東大の運動部において一般的に言われているような弱小東大ではなく、なんと常勝東大と言われてきました。数年前には全日本学生大会で総合優勝したほか、関東学生大会では総合優勝を9年間続け、その功績で東大総長杯をいただいております。

 また、旧帝大と言われた7つの国立大学の間の七帝戦(現在は「7大戦」と言うらしい)という大会ではここ2年続けて1位となっています。

 私は、すでに人生の後半部分もだいぶ経過しておりますが、健康に留意し、老害とならないように注意しつつ、昔の仲間や新しい仲間達に刺激を受けながら、これからも「自己の確立」を目指すとともに、「自他共栄」をモットーとし、多くの新しいことに挑戦し続けていきたいと思っております。

本コラム中の意見や推測にわたる部分は、執筆者の個人的見解であり、ひかり総合法律事務所を代表しての見解ではありません。
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