ファンド法務・暗号資産

 金融法務とは、これまでは銀行等の金融機関や証券会社などの業務に関する様々な法的規制(例えば銀行法、金融商品取引法、信託業法、資金決済に関する法律(以下「資金決済法」という)など)や各種監督指針、ガイドライン等に関する法務のことを指しておりました。

 しかし今日では、仮想通貨(暗号資産)の登場により、フィンテックも含めて金融分野に小規模事業者が参入する事態となっており、これに応じて金融庁の金融行政も規制を大幅に強化するなど、金融法務における急速な時代の変化は看過できない状況となっています。

 当事務所では、不特定多数の投資家から資金を集めて投資するファンドの運営に関わった経験を有しており、ICT技術に精通していることから、仮想通貨(暗号資産)を取り巻く様々な法的な問題も含めて、改正された金融商品取引法及び資金決済法の運用や、不動産特定共同事業法についても、適切な助言を行うことができます。

1 ファンド法務

 不特定多数の投資家から資金を集めてファンドビジネスを展開する事業者は多数ありますが、消費者を欺く詐欺まがいの悪質な業者も含まれているなど、ファンドビジネスの周りには、危険が伴います。

 ファンドを組成する方法はまちまちであり、不特定多数の投資家から資金や暗号資産を集めたうえで、何に投資するかで規制法が異なってきます。

 投資先が特定の事業であれば、特定の事業に投資するため資金を投資家から集める段階で、集団的投資持分の自己募集として、金融商品取引法の規制がかかります。

 今日では、投資家から資金を集めて貸金業を営むケースも増えています。

 他方、投資先が不動産であれば、不動産特定共同事業法の規制対象となります。

 第二種金融商品取引法の事業者が不特定多数の投資家から資金を自己募集したうえで、不動産特定共同事業法に基づくファンドに投資することも可能です。

 このようなファンド法務の視点からは、ガバナンスを掌る金融商品取引法、資金決済法及び不動産特定共同事業法等の規制法に基づき、適切なアドバイスを行うことによって、事業者が法を逸脱しないように適切に指導することが必要です。

2 大規模な金融被害事件(厚生年金基金事件の金融被害等)

 2012年にAIJ投資顧問による年金消失事件が表面化して以降、厚生年金基金から委託を受けた金融機関による年金資産の不適切な運用が明るみとなりました。

 当事務所は、複数の厚生年金基金の代理人として、運用受託者である信託銀行や投資顧問業者等に対し、善管注意義務違反に基づく損害賠償請求を行い、大切な年金資産の回収に務めました。

 当事務所は、金融法務に精通した多数の弁護士が所属し、又、裁判官として多数かつ大きな訴訟事件に携わった経験を有する弁護士も所属しており、こうした厚生年金基金における金融被害事件等、専門的知識を要し、また、莫大な資料の精査が必要な訴訟事件に対しても、迅速かつ適切に対応し、実績をあげております。

3 仮想通貨(暗号資産)法務

 資金決済法及び金融商品取引法の改正により、「仮想通貨」という名称は、「暗号資産」という名称に変更するとともに、流出に対応した規制の強化や、ICOに対する規制強化等の種々の規制がなされたものの、その運用はまだ確定しておらず、規則等の制定過程にあります。

 当事務所においては、仮想通貨(暗号資産)の規制についてキャッチアップするよう務め、最新の議論状況にも対応できるような体制を整えております。