離婚

離婚・親権・財産分与・養育料

1 破綻主義

 離婚には2つの考え方があります。1つは有責主義です。配偶者の一方に法律が定める離婚原因となる行為や事実がある場合だけ、相手方配偶者からの離婚請求を認めるという考え方です。もちろん、離婚原因となる行為をしたり事実を作った配偶者(=有責配偶者)には認められません。

 それに対して、夫婦の婚姻関係が事実上破綻している場合には、夫婦のどちらからの離婚請求を認める考え方を破綻主義と言います。すなわち、夫婦の婚姻生活が事実上破綻・形骸化していれば、その原因を作り出した配偶者からも離婚請求ができる、という考え方です。破綻主義の中でも、破綻という外形事実があれば、理由の如何を問わず、どちらからの請求でも離婚を認めるという積極的破綻主義と、破綻していても、その原因を作り出した配偶者からの離婚請求は認めない、という消極的破綻主義とがあります。

2 判例

 裁判例は、かつては厳格な有責主義を取っていましたが、最近では破綻主義に移行し、有責配偶者からの離婚請求も認めるようになっています。有責配偶者からの離婚が認められる最大の要素は別居期間です。短いケースでは別居期間6年で離婚が認められていますが、この事案は妻側にも不貞があるほかに、夫から妻への金銭給付の実績があり、財産分与の提案をするなど夫の有責性を低くする要因があります。

 一般には別居期間10年が目安でしょう。10年以上であれば、原則的に有責配偶者からの離婚請求が認められますが、その場合でも請求する側の有責の程度が高い、金銭給付もされず、子供が小さい、離婚により相手方配偶者が困窮する等の事情があれば認められません。

3 親権・面接交渉権

 離婚の際、未成年の子供がいる場合、親権者と養育費の負担を定めなければなりません。親権とは子供を養育し、法律的に子供を代理する権利・義務です。養育費は未成年の子供が成年に達するまでの養育費用です。当事者同士で決めることが出来ない場合、裁判所に決めてもらうことになります。

 親権者について、わが国では父または母のいずれか一方が親権者となる単独親権制をとっています。わが国の実務では、離婚時に子供が10歳未満の場合、よほどのことがない限り、具体的な事案を検討するまでもなく、母が親権者とされていることについて、男性差別との強い批判があります。アメリカ・ヨーロッパの制度を参考にして共同親権制、すなわち離婚後も親権は共同で行使するようにすべきです。そうでなければ、親権のない親(父)は養育費の支払だけは義務とされながら、子供の教育等に対する発言権は言うまでもなく、会うことすらできず、円滑な親子関係を築くこともできません。それは子供の発達にとっても大きな障害になります。

 面接交渉も同様です。実務では10歳までの子について、親権者(母)が他方の親(父)に面接させない事例が多くみられますが、これも男性差別と言わざるを得ません。

 なお、日本も批准している子どもの権利条約では、別居が始まればただちに恒常的な親子の交流を始めるように求めています。

4 養育費

 養育費とは、親権を持たない親が親権を持つ親に対して支払う、未成年の子どもの養育に要する費用です。家庭裁判所の実務では、双方の基礎収入、最低生活費、職業費、特別経費等を控除して子どもの生活費を義務者・権利者双方の基礎収入の割合で案分する方法をとっています。

 養育費については定めはなされるものの、実際の支払がなされないために、大きな問題を発生しています。共同親権制を取り入れることもこの問題の解決の一方法となります。

5 財産分与

 財産分与とは、離婚に伴い、それまで夫婦で築き上げてきた共同財産の清算、離婚後の扶養、慰謝料の3つの要素が含まれています。

 大きなものは共同財産の清算です。たとえば夫名義の単独名義の預金や不動産であっても全部が対象になります。ただし結婚前から持っていた財産や相続等で取得した財産は対象になりません。

 共働きの場合は2分の1が原則です。専業主婦の場合も限りなく2分の1に近づけられています。

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