相続
1 活用しよう自筆遺言書
あなたが亡くなった場合、相続人である配偶者や子供にとって親の遺産をどのように分けるのかを決めるのは簡単ではありません。
だから相続で紛争が起きます。相続で紛争を起こさないための最大の鍵は、あなたが生前に、誰にどのような財産を相続させるかを決めておくことです。
その方法として最も簡便で、最も経済的な方法は自筆で遺言書を書くことです。
相続人同士で紛争を起こさないためにはいくつかの方法がありますが、なによりも遺言書を作成しておくことです。
2 弁護士に財産目録の作成を依頼する
遺言書で一番厄介なことは財産目録の作成です。
財産目録さえ正確に作成されていれば、自筆で遺言書を作成するのは極めて簡単です。
たとえば「財産目録の1の不動産はだれだれに相続させる。」や「財産目録の2の預貯金はだれだれに相続させる。」などの文言を書けばよいからです。
財産目録はワープロで作成し、不動産の登記簿謄本を添付したり、預貯金の通帳の写しを添付することが出来るようになりました。
これまでは、財産目録も含めて遺言書の内容を全部手書きで書かなくてはなりませんでした。
だから自筆で遺言書を書くのは億劫ですし、弁護士も誤りを恐れて自筆で書くことを奨めにくい状況でした。
弁護士に正確な財産目録の作成を依頼しましょう。そうすればあとは簡単な言葉で済みます。
3 弁護士を遺言執行人に指定する
遺言書には必ず遺言執行人を指定しておくことです。
指定がないとせっかく作った遺言の執行が困難です。
家庭裁判所に遺言執行者の指定を求めなければならないからです。
遺言執行人は法律的な判断が必要ですので、あらかじめあなたの信頼できる弁護士を指定しておくのがベターです。
遺言執行人への報酬や支払い方法も定めておけば遺言の執行がスムーズです。
「遺言執行人はひかり総合法律事務所が指定する弁護士とする。」と定めておくこともできます。
この場合、当事務所が責任をもって、事務所内の弁護士の中から遺言執行人を指定いたします。
4 不動産の共有は避ける
金融資産と異なり、不動産は分けることができません。
ひとつの不動産は単独で相続させることが望ましいです。
ひとつの不動産を複数の相続人に共有で相続させると、後日、処分はもちろんこと、修繕や保管も費用の負担を巡って紛争が生じます。
また一旦共有にすると、あとから一人の相続人の名義にするためには贈与税・譲渡所得税等思いがけない出費が発生することもあるので避けるべきです。
ですから不動産は一人に相続させ、他の相続人には金融資産を相続させたり、遺言の中で不動産を取得する相続人に他の相続人への代償金の支払いを定めておくといいでしょう。
代償金とは、遺産分割に際して相続人間で授受される金銭のことで、贈与税、譲渡税、相続税の対象外とされます。
代償金の原資は、遺言者がたとえば不動産を取得する長男を受取人として生命保険に加入しておくと、長男が受け取る生命保険金は遺産分割の対象外とされ、遺留分及び持ち戻しの対象外ですので代償金の原資になります。
5 遺留分を考慮する
遺留分は相続人である配偶者及び子供が最低限得ることができる相続分で、兄弟姉妹にはありません。
その割合は法定相続分の2分の1です。たとえば相続人が配偶者と子供2人の場合、配偶者の遺留分は相続財産の4分の1、子供は8分の1です。遺言内容が遺留分を侵害していると、侵害された相続人からそうでない相続人に対して遺留分減殺請求がなされ、紛争がより深刻化するので避けなければなりません。
6 遺言書は思い立った時に作成する
遺言書の作成は原則として相続人の了解は不要です。
了解をとろうとすると作成できなくなることもあります。
誰もが納得する遺言というより遺言は相続人間の争いを防ぐためです。
必ずしも均等である必要はありません。
遺言は思いたったらその時にしておく必要があります。
ぐずぐずしていて判断力が落ちてからでは遅いのです。
遺言書を作成したあとでも修正はいつでもできます。
この場合も必ず弁護士に相談しましょう。
7 自筆遺言書作成の相談費用について
公証人に、相続財産が1億円未満で、妻に5000万円分を子供二人にそれぞれ2500万円分を相続させる遺言の作成を依頼した場合の手数料は、最低でも10万円(及び消費税)です。
公証人が自宅に出向いたり、病院に行ったりした場合には50%が加算され、そのほかに交通費、日当の支払いが請求されます。
当事務所は、リーズナブルな手数料で、自筆証書遺言書作成の相談及び財産目録の作成をいたします。
相続人関係図や財産目録作成のための調査費用、書類取寄せ費用、交通費等の実費は負担していただきます。