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オリンピック

山田 康成

 リオ・オリンピックが近づいてきました。

 以前、私が書いたコラムで、私は大学時代にボート部に所属し、同じボート部の卒業生がリオ・オリンピックの日本代表候補になっていると書きましたが、その卒業生が見事、日本代表としてリオ・オリンピックに出場することになりました。中野紘志選手です。軽量級ダブルスカルという2人乗りのスカルという艇のレースに出場することになりました。

彼は、数年前から世界選手権に日本代表として出場するなど日本国内のトップ選手であり、ボート界の中では有名でしたが、オリンピック出場となると、マスコミをはじめ、ボート界以外からも取り上げられるようになりました。やはりオリンピックの力は大きいものがあります。それでも、ボートのようないわばマイナーな種目は、陸上やサッカーなどのメジャーな競技に比べ、取り上げ方はまだまだ小さいです。もっと取り上げてもらうには、オリンピックでメダルを取るなどの成績を上げないといけないのが現状です。

トップアスリートの領域に入った選手は、皆、自身の進路選択の決断を迫られることになります。アスリートとしての旬の時期は限られており、人生の限られた時間に競技に集中するためには、何かを犠牲にしなければなりません。野球やサッカーなどのメジャーで、スポーツとしてのビジネスが成り立っている競技はよいですが、マイナーな競技は、その競技のトップにいたとしても、それだけで生計を立てることができるわけではありません。中野紘志選手も、ボート競技に集中するために、会社を辞めて、練習に打ち込み、オリンピック日本代表の座を掴みとりましたが、その決断は大変なものだったろうと思います。

人はそれぞれ適性があり、また、興味もまたそれぞれです。ある競技がだめでも、他の競技に転向したら、一気に才能が開花したということもあります。中野選手も、高校時代はテニスと陸上をし、ボートは大学に入ってから始めています。その意味でも、色々なスポーツができる環境を整備しておいた方がいい。スポーツ自体でビジネスが成り立つようなメジャーな種目だけではなくても、色々な種目の競技者が、人生の一時期を集中してチャレンジできるよう、幅広く、色々な競技に取り組める環境が整備されればと思います。

寂しい話になりますが、メジャーな競技以外のスポーツにとっては、4年に一度のオリンピックは注目を集める最大のチャンスです。しかも、良い成績をあげることが必要で、また、良い成績を上げたとしてもオリンピックの時だけの一過性のものに終わることも多い。しかし、今回は、4年後には東京オリンピックが控えています。メジャーな競技以外であっても、その競技への関心を継続させる最大のチャンスです。そして、トップアスリートが競技に集中する環境だけでなく、これからスポーツを始める子どもたちも、それぞれの興味や適性に応じて、いろいろなスポーツに触れあえる環境ができて欲しい。メダルの獲得は、あくまで、その結果。そんなスポーツ環境であって欲しいと思います。

この観点から、今回のリオ・オリンピックでは、日頃、見ることもない競技にも注目していきたいと思います。

本コラム中の意見や推測にわたる部分は、執筆者の個人的見解であり、ひかり総合法律事務所を代表しての見解ではありません。
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