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株式会社マネーフォワードの資本業務提携

弁護士法人ひかり総合法律事務所
代表社員 藤原宏高

(このコラムは、2017年11月にM&A情報広場に掲載されたものです。)

1.はじめに

 株式会社マネーフォワード(以下「M社」という)は、2017年10月11日、購入型クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」等を運営する株式会社CAMPFIRE(以下「C社」という)、及び株式会社LIFULLの子会社で不動産領域のクラウドファンディング事業の開始を目指す株式会社LIFULL Social Funding(以下「L社」という)との資本業務提携を発表した。

 M社は2012年(平成24年)5月に設立され、2017年(平成29年)9月29日にマザーズ上場を果たした新興企業である。「お金を前へ、人生をもっと前へ」をミッションとして、日本でNo.1の「お金のプラットフォーム」になることを目指していると発表している。

 M社の決算を見ると、会社設立以来赤字であり、上場直前の決算期でも大幅な赤字である。このような新興企業が人気を集め、マザーズ上場を果たして資金調達に成功した背景には、個人向けに提供しているパーソナル・ファイナンシャル・マネジメント・サービスとしての自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」、くらしの経済メディア「MONEY PLUS」など製品群や、法人向けに提供している「MFクラウド会計・確定申告」などのクラウドコンピューティング技術を背景にした会計製品群の将来性が高く評価されたものと思われる。

 M社は、このようなクラウド型サービスの拡大を背景として、Fintech(平成29年8月25日提出の有価証券届出書では、Fintechを「FinanceとTechnologyを組み合わせた概念で、金融領域におけるテクノロジーを活用したイノベーションの総称をいいます」と説明している)サービスにおける情報レイヤーとして、国内トップクラスのシェアを誇ると発表している。

 他方、C社は、クラウドファンディング・プラットフォーム「CAMPFIRE」の企画・開発・運営を主な事業としており、多様な資金集めの手段を提供する。C社の2017年4月9日付けのHPでは、「CAMPFIRE」は群衆(crowd)から資金集め(funding)ができる日本最大のクラウドファンディング・プラットフォームであり、これまでに5500件以上のプロジェクトが20万人以上の人々から総額約20億円を集めていると発表している。

 また、M社の説明では、L社は、2017年1月に株式会社LIFULLの子会社化され、「不動産領域のクラウドファンディング事業を中心としたソーシャルレンディング事業の取り組みを準備し(省略)、国内最大のファンドレイジングサイト(LSF調べ)であるJAPANGIVINGも運営して」いると説明している。

 国内最大の寄付サイトと自称する「JAPANGIVING」のサイト(https://japangiving.jp/)を見ると、ファンドレイジングを「オーナーの活動に共感したサポーターが、支援を募るためにページを作成し、オーナーのクラウドファンディングを無償でサポートすることです。」と説明している。

 また、ソーシャルレンディングサイトを、「資金を必要とする事業者とお金を運用したい投資家とをマッチングするサービスです。ソーシャルレンディングでは小口の投資家の資金を集め、利益が大きく見込まれる大口資金に代えることで、より大きな収益機会を狙っていきます。」と説明しているが、まだサービスは開始されていないようである。

2. 資本業務提携の目的

 残念ながら、今回のM社による資本業務提携の具体的な内容は発表されていない。

 M社は、クラウドファンディング市場の拡大と、ユーザーへの新たな資産形成の手段提供を目的としていると発表している。具体的には、「クラウドファンディング市場にはやはり大きな可能性があるのではないか、お金の新しい流れを作ることができるのではないかと思っておりまして、マネーフォワードのユーザーにこのような体験をご紹介したいということで、今後取り組みを進めていこうと思っております。」と説明している。

 C社のサービスも、L社のサービスも、投資対象はそれぞれ異なるものの、資金の提供者は、群衆(crowd)であり、既存の企業中心の金融とは一線を画している。M社は様々なクラウドサービスの提供により、大量の群衆(crowd)を顧客に取り込んでいる点で、ビジネスの基盤が共通である。したがって、両者が資本面を含む広範な業務提携を行うことによって、新たなビジネスの創造など、クラウド領域における確固たる基盤を形成できるものと期待される。

 ただし、M社としては上場を果たした以上は、早期に事業を黒字化する必要があり、資金力を背景に、クラウドファンディング事業者らと資本業務提携することによって、広告料収入などの収益の拡大を図る必要もあったのではないかと推察される。

以上

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