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ユニー・ファミリーマートHDとドンキHDの業務提携について

弁護士法人ひかり総合法律事務所
代表社員 藤原宏高

(このコラムは、2018年11月にM&A情報広場に掲載されたものです。)

1. はじめに

 2018年10月11日ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社(以下「ユニーHD」という)と株式会社ドンキホーテホールディングス(以下「ドンキHD」という)は、①ドンキHDがユニーHDの子会社で、総合小売事業(以下「GMS事業」という)を展開するユニー株式会社(以下「ユニー」という)の株式の60%を取得してユニーを100%子会社化するとともに、②ユニーHDは完全子会社を通じて、ドンキHDの株式のうち20%を公開買付けして、ドンキHDをユニーHDの持分法適用会社とすると発表した。

 すでに2017年8月24日時点で、両社はユニーHDがユニーの株式40%をドンキHDに譲渡するなどの業務提携をすると発表していた。実際に、その後ユニーの店舗の一部はドンキHDと共同で運営されていた。今回の株式譲渡は、ユニーとドンキHDの共同店舗が成功したことから、ドンキHDがユニーの残りの株式全部の譲り受けによる100%子会社化を持ちかけたことが契機であると言われている。ユニーHDにとっては総合小売業であるユニーの再生が大きな課題であったこと、業績絶好調のドンキHDにとっては、ユニーの残りの店舗が欲しかったことが背景にある。

 しかし、かかるドンキHDの申し入れに対して、伊藤忠商事をバックとするユニーHD側は、ドンキHDの株式を公開買付けして持分法適用会社とすることを提案したといわれており、流通業界をあっといわせる業務提携が実現したのである。

 ユニーHDとすればユニーの運営するGMS事業を単にドンキHDに手放し、業績が頭打ちになってきているコンビニ事業に特化するのみでは、メリットはそれほど大きくないので、ユニーHD側からドンキHDに対して、ドンキHDを取込む提案をしたといわれている。

 他方、ドンキHDにとっては、これまで独自の経営戦略で急成長し、単独で売上1兆円を目指すと表明していた矢先であり、突如、伊藤忠グループに入るとの決断をした背景には、人口の減少による流通業界の競争激化に備え、伊藤忠グループのネットワークを使った海外進出の強化に狙いがあったのではないか、と言われている。

2.今回の業務提携の概要

 今回の両社間の業務提携は、①ユニーの株式譲渡と②ドンキHDの株式の公開買付けがセットになっているが、両者に条件付けはされていない。

(1)ユニーの株式譲渡

 ドンキHDによるユニーの株式60%の買収は大変興味深いものがある。ユニーHDの保有するユニーの株式は非公開会社の株式であり、決算書上の1株の純資産価格はおよそ45万円であったにも関わらず、ユニーHDはその半値に近い1株23万5000円でドンキHDの買収に応じているのである。その結果、ドンキHDの買収総額は228億円に過ぎず、ユニーHD側には簿価との差額で損失が発生する模様である。この点はドンキHD側のしたたかさが光る。

(2)ドンキHDの株式の公開買付け

 他方、ユニーHDの発表した完全子会社による公開買付けは、ドンキHDの流通株を1株6600円でおよそ20%まで買い付けるというもので、総額2119億円もの資金が必要になるにも関わらず、ドンキHDの上場は維持されるとともに、ユニーHDはドンキHDの経営権を取得するには至っていないものと思われる。ドンキHDの株式は創業家がおよそ14%程度保有していると言われており、今回の公開買付けは創業家からの株式取得を目的とはしていない。ドンキHDをユニーHDの持分法適用会社とする限りでの株式取得であるため、ユニーHDがドンキHDの株式の20%を取得しても、議決権の争奪戦をして過半数を取得できるかは微妙な水準と思われるからである。

 そうすると伊藤忠グループをバックとするユニーHD側としては、ドンキHDと市場で競争してゆくよりも、ドンキHDを取り込んだ方が得策と判断したのであろうか。

3. 今後の課題

 アメリカでは小売業のシアーズが破産法を申請するなど、世界的なインターネット販売業者であるAmazonと、既存の小売業との競争は熾烈を極めており、日本ではこれに加えて少子高齢化が進むなど、小売業の将来性は極めて不透明である。  

 このような状況下で、今回の両社の業務提携は今後の小売業の将来を占う重要な業務提携であると思われる。

 市場が拡大しない日本市場に拘泥せず、可能性の高い海外市場に取り組むことこそが成長の原動力であるとも思われるので、今後の両社の協同によるシナジー効果の創出に期待したい。

以上

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