株式買取請求
上場株と異なり、いわゆる未公開株は株価が表示されていないことから、売買、相続、贈与等により移転する場合、価格の算定方法が問題となります。
また、例えば、譲渡制限株について株主が会社に譲渡の承諾を求めたのに対して会社がこれを承諾しない場合、会社等に対し株式の買取を請求することができますが、価格について合意ができなければ裁判所に対して価格の決定を求めるができ、同様に株価の算定方法が問題となります。
株価の算定の仕方については、大きく分けて以下の3つの手法があります。
インカム・アプローチ
マーケット・アプローチ
ネットアセット・アプローチ
インカム・アプローチは対象会社が生み出すキャッシュ・フローを評価する方法です。DCF方式、収益還元方式、配当還元方式と言われる方式です。
マーケット・アプローチは上場している同業他社や類似取引事例等、類似する会社、事業、取引事例と比較して相対評価する方法で、類似業種比準方式、類似取引方式と言われる方式です。
ネットアセット・アプローチは、会社の持っている純資産に着目して評価する方式で、簿価純資産方式、時価純資産方式と言われる方式です。
各方式は、客観性や市場の取引環境、将来の収益獲得能力毎の反映に違いがあり、どの方式を採用するかは、株式の移動目的等により左右されることになります。
裁判所の判断には、創業して間もないベンチャーとして成長力の大きい会社について収益還元方式のみによって評価した例(東地裁H20.1.22決定)、観光汽船会社について、DCF方式0.35、純資産方式0.35、配当還元方式0.3の割合で加重平均して評価した例(東地裁H26.9.26決定)等があります。
いずれも収益性に重心を置き、それに純資産方式を加えており、配当還元方式の比重は低いのが特徴です。
また、株価の評価では、マイノリティディスカウント、非流動性ディスカウント、非事業用資産という要素が個別に考慮されることがあるため、評価の仕方について、一概に論じることができない性質を有しています。
このように、未公開株式の株価は、採用されるべき評価手法が当該状況毎に多用であるため、その判断には高度な専門性が要求され、具体的な場面や立場ごとに適切な見通しを持った弁護士のアドバイスは大変有効です。
当事務所には、未公開株式の株式移転の他、株式買取請求にかかる紛争について、経験豊富な弁護士が在籍しており、具体的な状況に応じた適切な処理を行うことが可能です。
株式の移転や株式買取請求事件に関しては当事務所までご相談ください。