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相手方(被告)の住所が不明の場合の訴訟対応(住所の調査方法)

葛山 弘輝

1.原告において,相手方(被告)の住所を特定する必要があること

 自らが原告として訴訟を提起する場合,原告側が,相手となる者(被告)の住所を調査する必要があります。裁判所が,被告の住所地を調査してくれることは原則としてありません。

 この点,相手方(被告)の住所が不明であっても,最終的には公示送達という手続で,判決を取得すること自体はできうるものの,それによって得られた判決で,請求が金銭請求である場合には回収ができるかというと困難が伴います。

2.相手方(被告)の住所を特定する手段

 相手方(被告)の住所が分からない場合であっても,なんらかの手がかりがあれば,相手方(被告)の住所を調査できる場合があります。

(1)電話番号からの調査

 相手方(被告)の電話番号が分かっている場合には,当該電話番号を管理する事業者に対して,調査をかけることで,氏名・住所・口座番号が判明することがあります。

 調査の方法としては,①弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会や,②既に訴訟を提起済みであれば裁判所を通じた調査嘱託の方法を取ることも考えられます。

(2)住民票の追跡

 また,相手方(被告)のかつての住所が分かっている場合には,住民票を追跡することで,現在の住所が判明することもあります。住民票の調査については,弁護士などの専門職は,職権による調査が出来ます(なお,単に住所だけを調査するための職権による住民票の取得は許されていません)。

(3)法人の登記簿の閲覧

 相手方(被告)が,法人の役員であった場合であれば,訴状などを示して,利害関係があることを説明する必要がありますが,法務局において,法人登記の登記簿の附属書類の閲覧をすることができ,就任承諾書から住所を把握出来る場合もあります(http://www.moj.go.jp/content/001203909.pdf)。

(4)各業法の申請書類の閲覧

 また,相手方(被告)が,法人の役員となっていない場合であっても,業法によって規制されている業種の従業員である場合,官公庁に対する申請書及び添付資料において,相手方(被告)の住所が記載されている場合があります。例えば,宅建業の場合には,免許申請書や変更届の添付書類において,役員以外の者の情報が記載されることもあります。なお,開示請求については,情報公開請求と,弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会が考えられますが,情報公開請求の場合,個人情報が黒塗りで開示されることとなるため,送達先調査のためであれば,弁護士会照会の方法によることとなります。

3.おわりに

 上記は,相手方(被告)を特定するための方法の一例ですが,相手方(被告)に対して,訴状を送達し,訴訟の場に出頭させることで,裁判所も交えた和解の交渉が可能となることもあり,可能な限り,相手方(被告)の住所を調査することは重要な事項となります。

以上

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