暴力団構成員の離脱促進、社会復帰支援の取り組み
警察庁の統計による、2017年末時点で、全国の暴力団構成員数は、約1万6800人と14年連続減少しました。これは、警察庁が統計を開始してから過去最小の数字です。過去6万人を超える構成員数と比べると大幅に減少していることがわかります。この要因は、2007年に策定された政府指針による企業の反社会的勢力との関係遮断のための取組の徹底と、暴力団排除条例による暴力団排除活動が社会に浸透してきた成果です。この社会全体の取り組みにより、暴力団の資金獲得活動が年々難しくなっているのです。
もっとも、統計上の暴力団構成員数が減少しても、その元暴力団構成員が、社会において犯罪を繰り返すようなことが続いているならば意味がありません。暴力団構成員数は減少しても、近年、いわゆる半グレと呼ばれるような暴力団とは別の犯罪集団が形成されています。
しかしながら、暴力団構成員であっても、中には、自身の将来や、家族のことを考え、暴力団から真剣に離脱し、更生したいと考えているものもいます。国民に迷惑を掛けてきた暴力団構成員が苦労することは自業自得だとの意見もありますが、暴力団壊滅の目的は、単に構成員数を減らすことにあるのではなく、国民の安全・安心な社会の実現にあります。そう考えると、暴力団から真剣に離脱したいと考える者を社会に受け入れることは、暴力団を社会から排除する取組と矛盾するものではありません。
この観点から、公益財団法人暴力団追放運動推進都民センターでは、暴力団から離脱する者の社会復帰を支援する取り組みを進めています。具体的には、暴力団離脱者の就労支援や、暴力団構成員であることを理由に作ることができない預金口座を、真に暴力団から離脱したものであれば、特別に預金口座を開設できるようにすることを支援するなどの取り組みです。この預金口座開設の支援については、東京の弁護士会の民事介入暴力対策委員会に所属している弁護士が暴力追放相談員(離脱支援担当)として、今年の4月から活動しています。この取り組みは、昨年、私が所属する弁護士会の民事介入暴力対策委員会が発表した暴力団離脱者の社会復帰支援策についての提言が取り入れられスタートしたものです。私も暴力追放相談委員として活動しています。
この取り組みが始まってから半年が経過しますが、元暴力団員を社会に受け入れることの理解を得ることは中々容易ではないと痛感していますが、安全・安心の社会の実現のためには必要な取り組みです。そのため、この取り組みを着実に継続していきたいと思っています。
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